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荒木荘ネタNo. 100 「生ける祖霊」 ※死ネタ、オリキャラ注意

※ 死ネタがあります。ご注意下さい。
また、原作にないオリジナルな登場人物が出てきます。
それらが許せる方のみ閲覧をおすすめします。

 深夜。誰もいない墓地に、男は一人立っていた。
 持ってきた花束を足下の墓石の前に供えると、男は愛おしげに墓石をすりすりと撫でた。
 墓石の下には、彼の愛する息子が眠っている。
「ハルノ…いや、ジョルノよ」彼は地下に眠る息子に静かに語りかけた。
「こうしてお前に会いに来るのはもう何度目だろう。『ギャングのボスが長生きなんてできるはずがない』と言っていたお前が、何と80年も生きるとはな。正直長生きはできまいと思っていたお前の弟たちも、皆ずいぶん長く生きてくれた。おかげで私は今大勢のひ孫や玄孫に囲まれて暮らしている。ひ孫たちのほとんどはとうに私が人間をやめたときの年齢を超えてしまった。不思議なものだ」
 男はふっと微笑んだ。
「今でも思い出すよ。花婿の装束に身を包んだお前のこと、抗争の最中、生まれたばかりの息子を私に預けに来たお前のこと、娘の結婚式で涙ぐんでいたお前のこと、初孫の誕生を顔をくしゃくしゃにして喜んだお前のこと、足腰が弱って、父さんはいつまでも若いままでずるいと言ったお前のこと、そして…ええと、十何年前だったか、風邪をこじらせたなどという益体もない理由で逝ったお前をここに葬ったときのこと…」

 どこからかひたひたと草を踏む音がして、金髪の青年が姿を現した。
「そろそろ来る頃じゃあないかと思っていましたよ、ご先祖様」
「おおニコロか。よく私がここだと分かったな」
「分かりますよ、僕もあなたの血族の1人ですから」
 ニコロと呼ばれた青年は、その男――ディオ・ブランドーに屈託なく笑いかけた。
「元気にしているか」
「ええ、今の心配事といえば、大学の進級試験をパスできるかどうかということくらいですよ」
「ハハハ、大丈夫だ、お前は賢い子だからな」
「元法学部の首席だったあなたにはかないませんよ」
「フン、なに、遠い遠い昔の話だ。ところでサルヴァトーレはどうしている」DIOはニコロの父親の名を口にした。
「父さんなら、サンドラの乱行ぶりに手を焼いていますよ。何しろサンドラときたら、友達のボーイフレンドに手を出した出さないでつかみ合いの喧嘩をしてくるわ、男の子と殴り合ってもう少しで相手の目を潰しそうになるわ、とにかくめちゃくちゃです。本人は『パッショーネを継ぐのは兄さんでもいとこたちでもない、この私だ』と思っているみたいですが、僕に言わせればあれはとても女ボスの器じゃあない、ただの狂犬です」
「うむ、あの子は少し自分を抑えることを学ばなくてはな。時期が来るまで静かにしていることも知恵の1つだ」
「おやおや、昔を思い出しましたか?」
「ハハハ、お前は相変わらず冗談がうまいな」
 ニコロは天を仰いでため息をついた。
「思うんですよ、こんなとき兄さんが生きていたら、って」
「ロレンツォのことか。あれは残念な出来事だった」
 ニコロはズボンをまくり上げ、ふくらはぎに残る傷跡を撫でた。
「兄さんは――僕の大好きな兄さんは、卑怯な不意打ちを食らって死んだ。スタンドを出す暇もなかった。その時僕もこの傷を受けた。この傷に誓ったんです、汚いやり方で人を傷つけるギャングを、法の力で成敗できる人間になろう、と」
 ニコロの明るい鳶色の目に暗い光が宿った。そして一瞬、影のようなビジョンが彼の姿に重なった。普通ならただの見間違いで片付けてしまいそうなものだが、DIOには分かっていた。これが彼のスタンド――スモーク・オン・ザ・ウォーター。スタンドの手が触れた物を何でも煙にする能力。自らの肉体を煙にすることもできる。そう、まるで霧に姿を変えるおとぎ話の吸血鬼のように。
「父親や伯父、伯母、いとこたちや妹を裁くことになってもか?」
「正義にもとる振る舞いをする者には、身内だろうと容赦しません」
 大切な人のためとなると歯止めがきかなくなるこの性格は、あの一族の血を色濃く受け継いだのかもしれないな、とDIOは考えた。少し寂しい気もするが仕方あるまい。
 ニコロは墓石に刻まれた名をそっと指で撫でた。
「祖父は僕が小さいときに亡くなってしまったから、僕は祖父のことをよく覚えていない。全盛期のことなど知るよしもありません。でも組織の古株は皆こう言っていました。初代ドン・ジョバァーナ、ジョルノ様はカリスマだった、と。さぞ立派な人だったのでしょう」
「フフフ、そうだろうな。親バカと言われようとも、私の自慢の息子だったのだから」
「一方でこうも聞きました。初代はギャングとしての道を外れた者には、たとえ身内でも苛烈で容赦のない人だった、と」
「そういうところはお前に似ているのかもしれんな、ニコロ・ジョバァーナ」
 カハハ、と乾いた声でニコロは笑った。
「そうそう、僕の耳の中に耳を入れるやつ、見ます?」
「いや、やめておこう。もうすぐ夜が明ける」
「そうですか。また今度会いましょうね、永遠におじいさんにならない、僕のひいおじいさん」
 2人が去った後、東の空は徐々に白み始めた。



DIO「また変な夢を見た…。ジョルノが老いて死んだ後で、あの子の子孫に会う夢だった」

ディアボロ「ラストバトルの放送の前で神経が高ぶってるんじゃあないか?おめでたいことだな。長生きねぇ…。あの邪神コロネは確かに殺しても死にそうにないから長生きするかもな」



 祝・荒木荘ネタ100ネタ突破!ということで、いつもと毛色の違った話を。「ある父親の夢想」と対になる無駄家族IFシリーズです。
 ぶっちゃけ地の文がある小説を書くのは久しぶりです。
 サザエさん時空ではなく普通に年取っていったらいずれ息子の方が年老いて先に死んでしまう無駄家族ですが、息子たちにそっくりな子孫を見守り続けることができたらDIO様も寂しくないかな、と思いこんな話になりました。
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パクチー

Author:パクチー
関東から奈良県に引っ越しました。
旅と動物とウンまぁぁ~い物を愛する既婚女性。

ツイッターはこちら。https://twitter.com/ricecooker1229

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